大工さんの道具箱<計測>

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寸法の単位として世界共通で使われているものは「メートル法」ですが、

木造建築の世界では現在も「尺寸法」が通常に使用されています。

また、欧米では「フィート」や「インチ」といった単位も使われていますよね。

 

建築の現場では、大工さんが尺・寸で材料を図り、打ち合わせも当然尺・寸で法で行われるので、

慣れないとその都度、「1尺は303ミリだから、えぇっと…」と単位換算をしながら話をすることになります。

 

ところで、フィートや尺寸法の由来をご存じですか?

フィートの単数形は、Foot、「足」です。

1フィート=304.8mmは、足の長さに由来したのでした。

 

では、尺はどこからきた寸法でしょうか?

文字の形からも想像できる通り、尺は手を広げた時の親指から中指までの距離から決まったとされています。

しかし、現在建築寸法と使われている「曲尺(かねじゃく)」は303mmです。

これは手の長さから決まった小尺(20cm程度)を2辺とした大工道具の曲尺の一番大きな寸法に由来するようです。

 

 

いずれにしても、フィートや尺は体の部位の大きさから発展した「身体尺」だったのですね。

ちなみに、世界基準とされているメートル法ですが、1メートルは地球の北極点から赤道までの緯線距離の1/1000万で決められたそうです。

実はあまり人間的な数字ではなかったのですね。

 

もしかしたら、人間が密接に関わる建築の寸法はメートルよりも「身体尺」に基づくインチ・フィートや尺寸法で作られた方が、理にかなってるのかも知れません。